『現代思想』ガリレオ特集に寄稿

書誌情報は
田中純ガリレオと「見ること」」、『現代思想』2009年9月号(第37巻12号)、青土社、2009年、74〜91頁。

この論文の2節で記述した、パノフスキーガリレオ論と火星の楕円軌道を象徴したヴァールブルク文化科学図書館ホール(閲覧室)などとの関係については、執筆後になってホルスト・ブレーデカンプの次の論文に言及があることを発見した。補足しておきたい。
Horst Bredekamp: Gazing Hands and Blind Spots: Galileo as Draftsman. In: Jürgen Renn (Hg.): Galileo in Context. Cambridge: Cambridge University Press, 2001, pp.153-192. 該当箇所はpp.184-186。

なお、パノフスキーガリレオ論には、絵画と彫刻の優劣を論じたガリレオの論文における「視覚的」価値と「触覚的」価値との区分が、「近代的な」それの興味深い先駆けになっているという指摘がある。こうした点にも関連して、本論文で論じたガリレオにとっての「可視性」の問題を、美学におけるいわゆる「純粋可視性」(フィードラー)をめぐる議論と関連づけ、「科学的認識の感性論」とでもいったものを考察する可能性があるかもしれない。