みじかくも美しく燃え(Elvira Madigan)
謎のひとつが解明されました。
『政治の美学』で言及した、クラウス・テーヴェライト『男たちの妄想』の図版で出所がわからなかったものの一つ(拙著77頁図5)
読者の渡辺さんのご指摘(コメント欄にて)で、この図版がスウェーデン映画『みじかくも美しく燃え(Elvira Madigan)』(1967年)のスティル写真(ただし、左右逆転)であることが判明しました。
この映画は1889年に起きた実際の心中事件をもとにしたもの。美しい自然の映像が印象的です。ちなみに、写真の二人は恋人同士ですから、拙著で言及した論点に間違いがなかったことも確認できました。
渡辺さんに感謝します。
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50代以上の世代にはよく知られた映画だったようで、テーヴェライト氏にもなじみ深い作品だったのかもしれません。『男たちの妄想』における意味を転倒させた身振りの引用は、ヴァールブルクの言う情動的「電荷」を帯びた「ライデン瓶」としての情念定型の活性化でしょうか。
追記(2009.1.28)
日本公開当時のパンフレットを入手。
写真は着色されており、このカラー映画の画像そのままの色彩ではない。
問題のスティル写真については
ここでも左右が逆転し、さらに女性(エルヴィラ)の服が元の白ではなく、ピンク色に塗られている。全体に修整が加えられ、写真というよりも絵画に近い。着色された古写真のような印象と昔の映画館の宣伝看板めいた趣とが混じり合ったノスタルジア。修整写真における類型化された想像力のキッチュで、しかし、逃れがたい魅力。