翁と童子

金賢旭さんの著書『翁の生成──渡来文化と中世の神々』(思文閣出版)を頂戴する。

翁の生成―渡来文化と中世の神々

翁の生成―渡来文化と中世の神々

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新羅花郎における弥勒信仰と彦山修験の関係などを教えられた。修験も含め、仙術が道教に由来し、この道教文化がある時期から国家による徹底した排除・根絶の対象になった経緯が興味深い。その流れは陰陽道に姿を変えたり、天狗道というかたちで仏道に吸収されてゆく。

本書で繰り返し言及されている翁と童子の互換性は、「翁童論」として論じられてきたものに通じる。花郎とも絡むが、『政治の美学』でダイアグラム化した男性結社論のパラダイムもこの種の互換的な対称性、すなわち、亡霊と幼児の対称性に基づいていた。それは「すでに生者(人間)ではない者」と「いまだ生者(人間)ではない者」との互換性である。